○次世代省エネ基準以上の性能が急務MAR.2011

2010sweden
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未曾有の災害を受けて、これまでチンタラ?やっていた国の省エネレベルも、もう待った無しとなりました。(どれくらいの緊迫感が国としてあるかは知る由もありませんが)

すでにエコポイント対象が省エネ等級4という次世代省エネ基準が最低となってましたが、これも“トレードオフ”というわけのわからない手法を申請すれば次世代以下でも何とかなってしまっていました。

しかも、検査官がいないので施工の確認は何もできない、実質はザルですよね。でも、もうそんなことは言ってられません!エネルギーは有限なのです。原発頼みのエネルギー政策は否が応でも『NO』とならざるを得ないのです。今回と言う今回はこれだけの恐怖を知ったのです。もう、そんな子供だましみたいな省エネ住宅はあり得ないということをきっちりプロとして認識しなくてはなりません。

私は今回東京ビックサイトに行っていてその晩は帰宅難民を経験いたしました。ビックサイトの近くのTLCビルの3Fフロアに雑魚寝して過ごしたのですが、雨風はしのげても寒いのは寒く、「寝たら朝、目が覚めないのでは?」という恐怖にも近い感情も後押しして結局一睡も出来ませんでした。

今日3/22時点で10日経っても避難所にいらっしゃる方の辛さはたった1日でこんな感じだから、私の想像をはるかに超える厳しさだと思います。

 

また、プライベートな話で恐縮ですが、私の妻の実家(福島県相馬市)は津波にさらわれ、家族は奇蹟的に無事で現在我が家へ避難。また、親戚(南相馬市)も避難勧告が出て24名が我が家とアパート2部屋に分かれて避難しております。

我が家へ来る前は福島県の施設にいたのですがそこからウチへ来て、皆さん我が家の“あたたかさ”に非常に驚いています。

施設の寒さを身にしみて来られたのでこのあたたかさが更に倍増の感動をしてくれたのだと思います。家が寒いという事は色んな意味で支障をきたすということが分かって来ました。その考察は別のページでするとして、とにかく生命の存続を左右する住宅の断熱気密性能はそのままエネルギーの節約につながることは間違いありません。

これまで“次世代”と言いながらⅣ地域でQ値2.7W㎡K程度だったのですからこの程度では今後のエネルギー問題を解決出来ません。もちろん、住宅施策だけの問題ではありませんが大きな地球レベルの問題はそれぞれの専門家に任せるとして、住宅の専門家である工務店・ビルダーはとにかく次世代省エネ基準を超える性能を目指さないといけません。

 

ドイツフライブルク。
ドイツフライブルク。

 

では、どれくらいのレベルを目指すのか?これはかなり線決めをするのは難しいですが個人的に言えばQ値でⅠ地域の1.6W/㎡K以下は必要ではないかと。

そもそも、このQ値を算出するモノサシすら統一出来ていないので「俺んちは1.3だ!」なんて言ってもその計算方法はどういうやりかたで算出したかはマチマチなのです。

そんなおかしな現状も憂慮して2010年1月26日に一般社団法人クラブヴォーバンで燃費基準の統一をみんなでやろうというセミナーを開催しました。色々な議論は出ましたがやはりなかなか大きなテーマだけに結論は出ませんでした。本来我々がやることでなく国交省・IBECがモノサシをつくってくれればそれで済む話なのですがね・・・。

ま、それはそれとして、スウェーデン、イギリス、ドイツや多くの国では日本の数倍厳しい断熱気密基準がありそれがクリアしないと確認申請はおりません!また、ドイツでは金融機関が建築工事を審査するので彼ら自身が多くの専門家をおいて融資物件の厳格な査定をするそうです。

この辺もニッポンとは180度違うということで住宅の省エネ化に“火がつかない”大きな理由と言えるでしょう。

 

これからも新築や工務店業としてメシを食って行きたいのならここらで腹をくくり、エネルギーロスを最大限抑える性能の住宅をつくらなくてはなりません。義務化や法制化されず、国が動かなくてもです。

そして、大事なのは製造過程においても性能にこだわるばかり、エネルギーをジャブジャブ使う作業や、エネルギーをジャブジャブ使って出来た商品(例えばアルミサッシなど)や廃棄の際に大きく環境負荷を与える商品などを採用しては本末転倒です。

さらに、建築現場においてもコンテナに分別も何もせず捨てるのもナンセンスですよね。ホームページやパンフでは「当社は環境に配慮して・・・」なんて謳っていても現場やつくっている家が違っていれば“知行合一”とは言えません。

そういうトータルな観点から高性能な家づくりをしていかなくてはならないのですから、大変っちゃ―大変ですが、ワールドワイドで活躍する企業はもっともっと大変な努力をしているのです。

「俺たちはそんな大きな会社じゃねー」となるかもしれませんが、もうこうなってしまった以上、大きいも小さいもないのです。社会の一員として仕事をするからにはその分野でトップレベルの結果を追求しないと社会的責任を果たすとは言えないのです。

 

2004sweden
2004sweden

 

身近な話で言えばアメリカのGMやクライスラーと言った超巨大企業でもガソリンをバカスカまき散らすクルマをつくっていれば消費者から「NO」をつきつけられ、誰も買わなくなり倒産してしまうのです。

今だけの話ではありません。

当然、燃費の悪い住宅をつくりつづけていれば「NO」となるのは火を見るより明らかです。

今だけの話ではありません。

競合他社との差別化のためにも先に述べた諸問題をクリアしつつ高性能な家をつくっていくことが自社の存続になり、引いては社会貢献に繋がるのです。

 

予算が無いという理由で断熱気密をケチル住まい手にはプロとして毅然と「今回の震災を知らないのですか?」と問うて、その優先順位を変える努力をしなくてはなりません。それでも説得が難しいなら別ギャラリーにある『エネルギー評価』『環境家計簿』をつくり“見える化”させた資料でアタックして下さい。

きっとその努力が報われるはずです。私は私の方で皆さんプロが高性能な家をつくれるような情報提供をもっともっと提供する努力を致しますので、お互いとにかく実践主義で頑張って行きましょう\(^o^)/

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